水銀みづがね)” の例文
「蝋燭のくづが五、六本、あとはきりの薄板で拵へた、何んかの仕掛物と、——おや、おや? これはギヤマンの鏡の、水銀みづがねの剥げたのぢやありませんか」
遠き海づらは水銀みづがねのごとく耀きて志摩半島の翠螺すゐらをのぞむ。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
山のみ寺のゆふぐれ見ればはつはつに水銀みづがねいろの港見えつも
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
初秋はつあきの夜の蚊帳は水銀みづがねの如くつめたきを。
そぞろごと (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
雨はれし港はつひに水銀みづがねのしづかなるいろに夕ぐれにけり
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)