権八ごんぱち)” の例文
旧字:權八
前にいった滝泉寺門前の料理屋角伊勢の庭内に、例の権八ごんぱち小紫こむらさきの比翼塚が残っていることは、江戸以来あまりにも有名である。
目黒の寺 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
権八ごんぱちをきめこむとはなんのことだ」と安宅がきいた、「ここの隠居の呼び名でなく、江戸でそんなことを云うらしいがね」
滝口 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「挙がったようなものですよ。帳場の金が百両無くなって、下男の権八ごんぱちというのが逃げたんだから」
兄貴の家にそのまま権八ごんぱち(居候)というわけにはいかないので、近くのアパートの小さな部屋を借りることにして、俺は玉塚英信のところへ金策に、いや、リャクに行った。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
前にいった瀧泉寺門前の料理屋角伊勢かどいせの庭内に、例の権八ごんぱち小紫こむらさき比翼塚ひよくづかが残っていることは、江戸以来あまりにも有名である。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
若いころ江戸へ出て修業をし、道楽のはてに幾たびも「権八ごんぱち」をきめこんだ、というのが自慢で、金助という本名はひた隠しに隠し、あたしの名は権八だと主張していた。
滝口 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
権八ごんぱち浪太郎なみたろうという、浪人崩れのならず者で、ちょっといい男で」