しきび)” の例文
日曜日の朝、かれはしきびと山吹とを持って出かけた。庫裡くり手桶ておけを借りて、水をくんで、手ずから下げて裏へ回った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
欅の梢の見える横丁を行くと、青々としたしきびの葉が何杯も手桶に入れてあって、線香の赤い帯紙が妙なにぎわいを店頭に与えている花屋の角へ出た。そのつき当りは雑司ケ谷の墓地である。
朝の風 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
しきび売る小家こいへの窓や秋の風
自選 荷風百句 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)