楊弓やうきう)” の例文
「近頃は何んにも無かつたやうで。尤も若い時分はかなりのお道樂で、わけてもひどく楊弓やうきうに凝つたことなどがある樣です」
「八、お前はその押入の中の楊弓やうきうと、此間外で拾つた凧絲を持つて來てくれ。そして外へ出て松の枝の下で待つて居るのだ」
「いや、まだある。この女は船へ歸ると、余の傷よりも、楊弓やうきうの矢の心配をした、——眼から拔いて側へ置いた血だらけな矢を隱さうとしたのぢや」
十四、五人射殺したといふことが書いてあるさうだ。小さいけれど凄い弓だ、昔は柳で造つたといふ。ヒヨロヒヨロの楊弓やうきうとは比べものになるものか
藝妓、幇間たいこの騷いだのも無理はありません。大村兵庫の左の眼に楊弓やうきうの矢が眞つ直ぐに突立つて、血潮は滾々こん/\として頬から襟へ滴つて居るではありませんか。
雜俳ざつぱい楊弓やうきう、香道から將棋しやうぎまで、何一つ暗からぬ才人さいじんで、五年前先代から身上を讓られた時は、あの粹樣すゐさまでは丸屋の大身代も三年とはつまいと言はれたのを、不思議に減らしもせず
「一としきり、藝者さん達の間に、楊弓やうきうがはやりました。素人衆の女の人でさへ、隨分つた人もあつたくらゐですもの、私も負けん氣でやりましたが、深川まで通ふのが面倒臭くなつて、三月ほどで止してしまひましたが」