「近頃は何んにも無かつたやうで。尤も若い時分はかなりのお道樂で、わけてもひどく楊弓に凝つたことなどがある樣です」
「八、お前はその押入の中の楊弓と、此間外で拾つた凧絲を持つて來てくれ。そして外へ出て松の枝の下で待つて居るのだ」
「いや、まだある。この女は船へ歸ると、余の傷よりも、楊弓の矢の心配をした、——眼から拔いて側へ置いた血だらけな矢を隱さうとしたのぢや」
十四、五人射殺したといふことが書いてあるさうだ。小さいけれど凄い弓だ、昔は柳で造つたといふ。ヒヨロヒヨロの楊弓とは比べものになるものか
“楊弓”の解説
楊弓(ようきゅう)とは、楊柳で作られた遊戯用の小弓。転じて、楊弓を用いて的を当てる遊戯そのものも指した。弓の長さは2尺8寸(約85cm)、矢の長さは7寸から9寸2分とされる。中国の唐代で始まったとされ、後に日本にも伝わり、室町時代の公家社会では、「楊弓遊戯」として遊ばれた。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)