朧銀ろうぎん)” の例文
この刀なんぞもその一つじゃ、よく見て置かっしゃれ、鞘はこの通り梨子地……つば象眼ぞうがん扇面散せんめんちらし、縁頭ふちがしらはこれ朧銀ろうぎんで松に鷹の高彫たかぼり目貫めぬきは浪に鯉で金無垢きんむくじゃ
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と言って主膳は、やや遠く離して置いてあった例の梨子地の鞘の長い刀の手繰たぐって身近く引寄せて、鞘のこじりをトンと畳へ突き立てて、朧銀ろうぎん高彫たかぼりした松に鷹の縁頭ふちがしらのあたりに眼を据えました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)