有余ありあま)” の例文
旧字:有餘
折悪おりあしく一人の宿直士とのい番士ばんしの影も見えぬ。警護の有余ありあまつた御館おやかたではない、分けて黄昏たそがれの、それぞれに立違たちちがつたものと見える。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そのくらいの事をとひとから笑われるようなこんな小さな場合ですら、彼はすぐ動く気になれなかった。家には現に金がある、お延に対して自己の体面を保つには有余ありあまるほどの金がある。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大宮君もその時には有余ありあまった金がなかったそうで、外から借入れてわざわざ送ってくれたのだそうです。まあその金で始末をしてどうにかカルカッタまで帰ることが出来たような訳です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)