普通ひととおり)” の例文
「何ッ勉強が足りない? と、馬鹿な事をいふッ、普通ひととおりの勉強はさせたでないかッ? 何が不足? 何が気に喰はぬ? 我儘者めが」
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
最もはだか蝋燭だから半紙でかこいを作って、左手に高く捧げては、此処は曲りだ、大きな石がある、すべるぞ、と絶えず種々な掛声をして先に立つT氏の労は普通ひととおりではない。
武甲山に登る (新字新仮名) / 河井酔茗(著)
「するとお館は貴殿にとっては、普通ひととおりの故主ではござらぬ筈」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それも普通ひととおりの明るさではなく、真昼のような明るさであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)