新室ニヒムロ)” の例文
此信仰の古いものは、縮見シヾミ細目の家の新室ニヒムロウタゲにまれびと久米部小楯の為に遊び歌はれた二皇子の伝説の如きものが、其適例を示してゐる。
新室ニヒムロのほかひについて言うて置かねばならぬ事は、其が臨時のものか、定例として定期に行うたものかと言ふ事である。
即、新室を建てた時に、新室ニヒムロほかひをする。此新室ほかひの他には、旅行すると、其宿る場所々々に家を建て、やはり新室ほかひと称するものをする。
万葉集の解題 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其が、舊室フルムロをほかふ場合も屡ある樣である。舊室に對しても、新室ニヒムロと呼ぶことの出來た理由があるのだと思ふ。
此日神を請ずる家が「新室ニヒムロ」と称へられた。昔から実際新しい建て物を作るのだと考へられて来てゐる。
村々の祭り (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
新室ニヒムロウタゲ及び、旅にあつての仮廬祝カリホホぎから出て来た「矚目吟詠」は、次第に叙景詩を分化して来た。
新室ニヒムロ踏静子フミシヅムコが手玉鳴らすも。玉の如 照りたる君を 内にとまをせ(万葉巻十一旋頭歌)
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
新室ニヒムロの古びない力を讃めて、稚室ワカムロといひ、其各部を縛り、殊に屋上から結び垂して、地上に届くまでに結びさげた蔓を以てした綱の長きを仰ぎ乍ら、讃め詞ははじまるのである。第一、柱ぼめ。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)