斑猫ぶちねこ)” の例文
其處には斑猫ぶちねこの死體が轉ツてゐたのだ。眼をき、足を踏張り齒を露出むきだしてゐたが、もう毛も皮もべと/\になツて、半ば腐りかけてゐた。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
陽春の訪れと共に狹隘せゝつこましい崖の下もにはかに活氣づいて來た。大きな斑猫ぶちねこはのそ/\歩き廻つた。澁紙色をした裏の菊作りの爺さんは菊の苗の手入れや施肥に餘念がなかつた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
斑猫ぶちねこはそのコップをよけ、前肢をそろえ髭をあおむけ、そっと葉っぱを引っぱっては食っている。ふさふさした葉が揺れるだけだ。音もしない。日本女はもう二時間そうやって寝ている。