放縦不羈ほうじゅうふき)” の例文
中には、夫人の死を、妖婦カルメンの死に比しているものもあった。夫人の華麗奔放、放縦不羈ほうじゅうふきの生活を伝聞していた人々は、新聞の報道を少しも疑わなかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
個人の行動が放縦不羈ほうじゅうふきになればなるほど、個人としては自由の悦楽を味い得る満足があると共に、社会の一人としてはいつも不安の眼をみはって他を眺めなければならなくなる
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
胎教とて、妊娠時にも、坐作進退の些事さじより、一切の心得について一向厳正なれとのみ教え、しかして女子に対してかくの如き要求をあえてする男子の所行如何いかんと顧みるに、甚だ放縦不羈ほうじゅうふきである。
婦人問題解決の急務 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
彼らの或者は今現にこれを実行しつつある。してみれば放縦不羈ほうじゅうふきを生命とする芸術家ですらも時と場合には組織立った会を起し、秩序ある行動を取り、統一のある機関を備えるのである。
中味と形式 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)