撫附なでつ)” の例文
且つその狂か、か、いずれ常識無き阿房あほうなるを聞きたれば、驚ける気色も無くて、行水に乱鬢みだれびんの毛を鏡に対して撫附なでつけいたりけり。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
祖母が切髪を撫附なでつけるのに、鼠歯ねずみばという、ごく歯の細かい櫛を使うので、それがあるかと聞きましたが、ありませんかった。黄楊つげの木で造った品ばかりを商う、暗くて古風な店でした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)