“捕縄供養（とりなわくよう）” の例文
やる！　やる！　四、五年前の江漢ならば、きっとやる！　だが、わしは、愛縄堂（あいじょうどう）の捕縄供養（とりなわくよう）の時に、もう生涯、十手はとらんと、誓ってしまった。世を捨て、十手を捨てた人間。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
この話が伝わると、誰が発起（ほっき）ともなく、養生所の新築披露目（ひろめ）をかねて、一つ、希有（けう）な大与力（だいよりき）の隠退を記念する捕縄供養（とりなわくよう）をやろうではないか——イヤ、やらせようではないか、と他（はた）から騒ぎだした。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
隠退した名与力塙江漢のために捕縄供養（とりなわくよう）の催された十五夜の晩である。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)