拐引かどわか)” の例文
そうなると、もしや人攫ひとさらいにでも拐引かどわかされたのじゃあないかと云う疑いも起こる。あるいは神隠しかも知れないと云う者もあります。
半七捕物帳:56 河豚太鼓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
自分は長沙ちょうさの人で、姓はきん、名は汝利じょりというものである。若いときにこの乞食に拐引かどわかされて、まず唖になる薬を飲まされたので、物をいうことが出来なくなった。
いわゆる渋皮のけた娘であるから、昼間から付け狙っていて拐引かどわかしたのであろうという説が多数を占めたが、しょせんは一種の想像にとどまって、その真相はわからなかった。
半七捕物帳:60 青山の仇討 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「わたくしは姓をばくと申しまして、父はむかし仕官の身でござりました。昨夜劫盗ごうとうに逢いましたが、そのうちの二人は僧で、わたくしを拐引かどわかしてここへ運んで参ったのでござります」
ふとした出来心で彼女を拐引かどわかして行ったものとすると、その探索は面倒である。