“感染(うつ)” の例文
さだめし、お婆ちゃん、夜も文鳥を抱いて寝てござろうが、命松丸のようなオネショまでが感染(うつ)らなければいいがと案じている。(三四・五・一五)
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「波岡家では、町方の手先や御用聞は、門の中へ入れると、不浄が感染(うつ)ると言ったじゃないか」
露子は彼から感染(うつ)されて居た病気がこの頃可也進んで行った。早くから澄川病院に入院する様に父母を始めみんな勧めたが、潔のもと居た病院ではあるし、露子は気が進まなかった。
淡雪 (新字旧仮名) / 原民喜(著)
肺は感染(うつ)つてからでも十年位もひそんでゐるつて云ふんですもの、もしも私が死んでしまつてから、あなたが病氣になつて死ぬやうなことがあつたら、幸子はなんといふ不幸な子になるでせう。
珠 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
「そうですわね。私あの室に馴れているものですから、外に出ると急に寒いような気がするんですの。何だか自分まで病気になったような気がして……。でももう感染(うつ)ってるのかも知れませんわ。」
二つの途 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
覗う曲者があると教えてやっても、門の中へは一歩も入れてくれません。町方の役人に付き合うと、不浄が感染(うつ)ると思って居るんですね。この寒空に一と晩塀の外で張番させられちゃ、犬だって楽じゃありませんよ
「臆病が感染(うつ)りますぜ、親分」