感冒かんぼう)” の例文
悪性の流行感冒かんぼうは日に幾十となくその善良な市民を火葬場に送った。私もまた同じ戦慄せんりつのうちに病臥びょうがして、きびしいしもと、小さい太陽と、凍った月の光ばかりとを眺むるよりほかなかった。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
感冒かんぼうかかって死ぬるのが落ちであろうが、寒帯から一躍温帯に変ったかのエスキモー人など、どのように瞳を輝かして、あのあざらしの服を脱ぎ、にわかに咲き乱れる百花に酔うであろうか。