近代文学の黎明れいめいは、実に浪漫派の情緒主義センチメンタリズムによって開かれている。それは資本主義の平民文化が精神する、あらゆる反貴族的、反武士道的なものを表象している。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
その新しき哲学とは、詩に瞑想めいそう的な実在観念を深めたことで、浪漫派の純一に情緒主義センチメンタリズムであったのとは、この点で教養が区別される。彼等は要するに浪漫詩人の、より観念化した変貌へんぼうだった。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)