恍惚うっと)” の例文
優美なしなを作ったり、もし必要とあれば恍惚うっとりとなったり、悲しげな眸をしたり、さては謎めいた眸を送ることなど、なんでも自由自在に出来た。
と山吹は乗り出して来たがもうその眼は恍惚うっとりとなり胸をワクワクさせているらしい。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、滝人は素晴らしい虹でも見るかのように、その情景を恍惚うっとりと眺め入っていた。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
と投げるようにいって、大空を恍惚うっとりとみつめた風情。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その後でも彼女は呆れたような恍惚うっとりとしたような風で客間の真中に立ち尽して、このような驚嘆すべき生活の変化がなぜこう一ぺんにやって来たのか、とても信じられないような顔をしていた。
山吹はまたも恍惚うっとりと訊く。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)