“怜俐(りこう)” の例文
「本当に笑談(じょうだん)じゃない」と云った小林はひょいと眼を上げて津田の顔を見た。津田はふと気がついた。しかし相手に何か考えがあるんだなと悟った彼は、あまりに怜俐(りこう)過ぎた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私(わたし)の判断を云いましょうか。延子さんはああいう怜俐(りこう)な方(かた)だから、もうきっと感づいているに違(ちがい)ないと思うのよ。何、みんな判るはずもないし、またみんな判っちゃこっちが困るんです。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いかに怜俐(りこう)なお延にも考える自由の与えられていないその後(あと)は容易に出て来なかった。けれども結果は一つであった。彼女の頭は急にお秀から、吉川夫人、吉川夫人から津田へと飛び移った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)