徳本とくほん)” の例文
「そうして今のところでは、拙者の方に勝ち目がある。御岳山中に古今の名医、甲斐の徳本とくほんが身を隠し、薬草道人と名を改め、居を定めているようだの」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
くだんのアントニウス尊者は紀州の徳本とくほん上人同様、不文の農家の出身で苦行専念でやり当てた異常の人物だ。その値遇ちぐうの縁で出家専修した者極めて多ければ、当時エジプトの人数が僧俗等しといわれた。
「中古ニ隠士徳本とくほんナルモノアリ、甲斐ノ人也——」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
古今の名医甲斐の徳本とくほん、もしも御岳にいるようなら、討って取ろうとこういうのが、つまり俺の特別任務さ。ところがこれと反対に、甲斐の徳本が御岳にいたら丁寧に守護して江戸へ入れよう。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)