返す返すもくやしき熱海の御別おんわかれの後の思、又いつぞや田鶴見たずみ子爵の邸内にて図らぬ御見致候ごけんいたしさふらふ而来このかたの胸の内、其後そののち途中とちゆうにて御変おんかは被成候なされさふらふ荒尾様あらをさま御目おんめに懸り、しみじみ御物語おんものがたり致候事いたしさふらふことなど
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)