御執心ごしゅうしん)” の例文
「この弥生ってえのに丹下様が御執心ごしゅうしんなりゃこそ、ちっとのことでああ姐御あねごをひでえめにあわせるんだ。それを思うと、あっしゃあ口惜しくてならねえ!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「大笑いをなすった後、それほどの御執心ごしゅうしんなら、兎に角考えて見ましょうと仰有いました」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「それほどに御執心ごしゅうしんゆえ、よいお返事を聞かせてお上げ申したいが……」
いまこそ御執心ごしゅうしんをいろにお出しになりましたものとおもわれます。
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
きつう娘に御執心ごしゅうしんなされて、一度はお屋敷に閉じこめてわがものにしようとしたが、栄三郎ときれいに手を切って娘を生涯の妾にくれるならば、内々のところは奥様にして
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それほど御執心ごしゅうしんならばこれまで通りにさせてやって下さいますかと父親が念をおしましたくらいで御亭主や子供がありましても娘時代のおおどかな気風はいっこうかわりはなかったそうにござります。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「御自身御執心ごしゅうしんの園絵さまをさして馬の骨とは、そりゃ先生、聞えません。へい、第一、園絵さまをおつれするようにと、先生から脇坂様へお話がありましたればこそ、こうして手前が——」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)