彩色ゑのぐ)” の例文
郎女は、奈良の家に送られたことのある大唐の彩色ゑのぐの数々を思ひ出した。其を思ひついたのは、夜であつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
女たちの噂した袈裟で謂へば、五十条の袈裟とも言ふべき、藕絲ぐうしの錦の上に、郎女の目はぢつと据つて居た。やがて、筆は愉しげにとり上げられた。線描すみがきなしに、うちつけに彩色ゑのぐを塗り進めた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)