廡下のきした)” の例文
祠の左右の廡下のきしたに並んだ諸司にはそれぞれ燈火がいて、参詣の人びとはその前へ跪いて思い思いに祈願をこめていた。
富貴発跡司志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
宿をかしてくれそうな物を売る家の門口をかたっぱしからたたいてみたが、返事をするものがなかった。しかたなしに廡下のきしたをうろうろしていると、一軒の家の扉を左右に開けて一人の老人が出て来た。
阿繊 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
李生は気味が悪いが他にどうすることもできないので、廡下のきしたへ腰をおろし、手にしていた弓を傍へ置いて、四辺あたりに注意しながら休んでいた。廟の前の黒い大木の梢には、二つ三つの星の光があった。
申陽洞記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)