“幻惑”の読み方と例文
読み方割合
げんわく100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼にとつては総てが変態であり恐怖であり幻惑げんわくであつた。かれの静かな心にうつつてくるのは、かれの病みつかれた顔や手足にまつはる悩ましい蜘蛛の巣である。
若君わかぎみ若君。これは呂宋兵衛の幻惑げんわくですぞ、かならず、その手に乗って、おひるみあそばすな」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
帆村探偵の自信はにわかにグラつきだした。彼は遂に、眼から入ってきた蠅男の姿に、幻惑げんわくされてしまったのである。深い常識のために、推理の力を鈍らせてしまったのである。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)