平素着ふだんぎ)” の例文
弟小次郎の平素着ふだんぎらしい、浅黄色の無地のあわせの袖を、しなやかに縫っていた姉の鈴江は、うつむけていた額を軽く上げたが
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
矢島さんは平素着ふだんぎに着換えて紅茶を啜っていた、常子は長火鉢にかかっている鉄瓶のわきにそっと手をかざしていた。
過渡人 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ただいつとはなしに、白い平素着ふだんぎをつけた若いお坊さんの姿が、そのお寺の庭に、楓の並木の向うに、じっと立っているのを私は見出すようになった。
或る女の手記 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)