常套的じょうとうてき)” の例文
却ってそれが疾風的行動のさまたげとなっても、常套的じょうとうてきな作戦変更という形式からついに一歩も飛躍し切れなかったことの一因といえよう。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おそらく常套的じょうとうてきに慣用されて来た技巧であって、それがさまざまな違った着物を着て出現しているに過ぎないものであって、こういうことはまた
映画雑感(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
フランス本国ではドビュッシーなどより大きく扱われ国葬にまでなっているが、あまり常套的じょうとうてきなフランス風であるために、日本人にはかえって理解され難い。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
道成寺の場合にはまた、初期の映画で常套的じょうとうてきに行なわれた「追っ駆け」を基調とする構成の趣があると言われよう。
映画芸術 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
こうした高飛車な物腰は、なんぞというと、この小次郎の常套的じょうとうてきな態度であるが、その姿や前髪の優しげなところだけ見ていた者は、ちょっと、度胆を抜かれてしまう。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
映画でしばしば用いられる推移の手段としての接枝的連接法コンチニュイティ・グラフトとも呼ばれる常套的じょうとうてき手法がある。
映画芸術 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
たとえば仏教思想の表面的な姿にのみとらわれた凡庸の歌人は、花の散るのを見ては常套的じょうとうてきの無常を感じて平凡なる歌をんだに過ぎないであろうが、それは決してさびしおりではない。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
天保より明治子規に至るいわゆる月並み宗匠流の俳諧は最も低級なる川柳よりもさらに常套的じょうとうてきであり無風雅であり不真実であり、俳諧の生命とする潜在的なるにおいや響きは影を消した。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)