常人じょうじん)” の例文
ぎょッとなったようにして立ち止まっているくだんの男の側に歩み寄ったかと見えましたが、ここら辺もまた退屈男の常人じょうじんでない一面でした。
第二の解脱法は常人じょうじんの解脱法である。常人の解脱法は拘泥をまぬかるるのではない、拘泥せねばならぬような苦しい地位に身を置くのを避けるのである。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それから久しい以前より問題にしている旅の女性、みことか歌比丘尼うたびくにとかいうものの地方に与えた影響や、験者げんじゃ山伏やまぶしという一派の宗教家の、常人じょうじんの上に振うていた精神的威力など
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
麻糸にも精粗の差はあるが、もともと手先のわざだから常人じょうじんの着物は糸が太く布が強くて突張っていた。まるまるとした人のからだの表面との間に、小さな三角形の空間が幾らでもできていた。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
常人じょうじんの家では企て望み難いものであった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)