己惚おのぼ)” の例文
あのかたは少し己惚おのぼれ過ぎてるところがあるのよ。それから内側と外側がまだ一致しないのね。上部うわべは大変鄭寧ていねいで、おなかの中はしっかりし過ぎるくらいしっかりしているんだから。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのあとで「気狂きちがいになった女に、しかも死んだ女にれられたと思って、己惚おのぼれているおれの方が、まあ安全だろう。その代り心細いには違ない。しかし面倒は起らないから、いくら惚れても、惚れられてもいっこう差支さしつかえない」
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)