山一やまいち)” の例文
忠兵衛の子がまだ皆いとけなく、栄次郎六歳、安三歳、五百いお二歳の時、麹町こうじまちの紙問屋山一やまいちの女で松平摂津守せっつのかみ義建ぎけんの屋敷に奉公したことのある忠兵衛の妻は亡くなったので
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
忠兵衛が文化七年に紙問屋かみどいや山一やまいちの女くみをめとった時、牧は二十一歳になっていた。そこへ十八歳ばかりのくみは来たのである。くみは富家ふうか懐子ふところごで、性質が温和であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)