屠者えとり)” の例文
宍人ししびと朝臣・阿倍朝臣などと同じく、大彦命の後だとあるが、宍人とは獣肉を調理する役廻りで、後世ならば屠者えとりすなわち賤者の任務だ。
手長と足長:土蜘蛛研究 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
こう云ったのは前身が屠者えとりで、他人の牡牛を盗んだとがで、両耳を剃り落とされた中年者であった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ところで、殺生をはなはだしい罪悪として、これを極端に嫌う仏教徒の側からは、この屠者えとりがはなはだしく嫌われました。
二人の屠者えとりはすぐに飛びかかり、四足をしばられた二匹の獣を、釜のそばへ引きずって来た。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
聖人は事実漁家の子として生れられたのであったに相違なかろう。漁夫はもちろんいわゆる屠者えとりではない。したがっていわゆる旃陀羅でもない訳である。
突然範覚は金剛杖を振りあげ、屠者えとりの肩の辺りをくらわせた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もとはいわゆる屠者えとりの職で、非人法師たる濫僧とは別であったが、それが利益の多いものであったが為に、自然長吏法師等が自己の特権として、死牛馬を扱う権利を壟断し
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
それはただに濫僧ろうそう屠者えとり浄人きよめとのみに限らず、室町時代には井戸掘り・庭作りなどの業にも従事し、その或る者は遊芸を事として、後世俳優を河原者という語の起原をもなしているのである。
古く神官はハフリと申したのは、この神への犠牲いけにえを屠ることを主なる職としたためかとまで考えられるのであります。この意味から申せば、神官また一種の屠者えとりと申してよかったのかもしれません。
かの屠者えとりの輩をまでも済度された。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
14 肉食の禁忌と屠者えとり
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)