何日いつだったか、一寸ちょっと忘れたが、ある冬の夜のこと、私は小石川区金富町こいしかわくきんとみちょう石橋思案いしばししあん氏のうちを訪れて、其処そこを辞したのは、最早もう十一時頃だ、非常に真暗まっくらな晩なので
青銅鬼 (新字新仮名) / 柳川春葉(著)