小僧こばうず)” の例文
小僧こばうずつて来し茶を上人自ら汲み玉ひてすゝめらるれば、二人とも勿体ながりて恐れ入りながら頂戴するを、左様遠慮されては言葉に角が取れいで話が丸う行かぬは
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
思ひつかるゝことのありてか今日はわざ/\二人を招び出されて一室に待たせ置かれしが、今しも静〻居間を出られ、畳踏まるゝ足も軽く、先に立つたる小僧こばうずが襖明くる後より
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
反響ひゞきのみは我が耳に堕ち来れど咳声しはぶき一つ聞えず、玄関にまはりて復頼むといへば、先刻さき見たる憎気な怜悧小僧こばうずの一寸顔出して、庫裡へ行けと教へたるに、と独語つぶやきて早くも障子ぴしやり。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)