寛々くわん/\)” の例文
どうかすると、庭と言ふより寛々くわん/\とした空き地の広くおありになる宮廷よりは、もつと手入れが届いて居さうな気がする。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
二台の馬車に、客はマバラに乗り込みぬ、去れど御者も馬丁ばてい悠々いう/\寛々くわん/\と、炉辺に饒舌ぜうぜつしつゝあり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
庭木戸をはじき飛ばすやうに飛び込んで來たガラツ八の八五郎は、相變らず縁側にとぐろを卷いて、寛々くわん/\と朝の日向ひなたを樂しんでゐる錢形平次の前に突つ立つたのです。
其處にはしかし、朝の膳へ差し向ひになつて、寛々くわん/\と暖かい味噌汁を啜つて居る幸七夫婦の太平無事な姿があるだけ、二間以上の板も丸太も見付からなかつたのです。