密々こそ/\)” の例文
何やら密々こそ/\耳こすりを致し、お美代を蠣殻町まで一人で帰す事に相成り、一人乗の車を別に雇い、お美代を先へ帰して置いて
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
二人限きりになると、何れもほつと息を吐いて、今し方お吉の腰掛けた床の間に膝をすれ/\に腰掛けた。かくて十分許りの間、田舍言葉で密々こそ/\話合つた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お八重はいふ迄もなく、お定さへも此時は妙に淋しく名殘惜しくなつて、密々こそ/\と其事を語り合つてゐた。此日は二人共庇髮に結つてゐたが、お定の頭にはリボンが無かつた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
親方へ一寸ちょっと喧嘩に往って来ますと断って出る者は有りますめえ、密々こそ/\と抜け出して出しぬけにわッと云って、大勢が長いのを振舞わして此処こゝへ遣って来られた日にゃ大変じゃありませんか
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)