定斎屋じょうさいや)” の例文
定斎屋じょうさいやの金具の音がのんびりと橋を渡って消えてゆくと、近くの武家の塀内で、去年の秋から落ち葉を焼くけむりが、白くいぶったままこの部屋の端にまでたゆって来ている。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
苗売り、金魚売り、虫売りの声々、カタンカタンという定斎屋じょうさいやの音、腹を見せて飛ぶ若い燕の、健康そうな啼き声などにも、万物生々たるこの季節の、清々すがすがしい呼吸が感ぜられた。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
馬喰町の新右衛門といや、富山とやまの反魂丹、岩見銀山のねずみ取り、定斎屋じょうさいや、孫太郎虫、みんなあいつがひと手で売り子の元締めをやってるんだ。野郎を洗えばぞうさなくネタはあがるぞ。
右門捕物帖:30 闇男 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)