孀婦やもめ)” の例文
森「女房じゃアありません、来月別れ話になって、これから孀婦やもめ暮しにでもなったら、旦那を連れて来てくれってんです」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その後良人に先立れ孀婦やもめとなった悲しみを慰めるため、単身米国を漫遊して再び日本に来て二年ほど東京にいた。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
おころは孀婦やもめぐらしの独り者で、七、八年前からここへ来て、市子を商売にしている。別に悪い噂もないが、一種の変り者で殆ど近所の附き合いをしない。
半七捕物帳:58 菊人形の昔 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
人に狩り取られて、親がないか、夫がないか、みなしご孀婦やもめ、あわれなのが、そことも分かず彷徨さまよって来たのであろう。人可懐なつかしげにも見えて近々と寄って来る。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「五十七八か、まあ六十ぐらいだろうね。子供はねえので、亭主に別れてからは、孀婦やもめで暮らしていたのです」