妾腹めかけばら)” の例文
当地へやって来たのが十歳とおぐらいの時でもあったろう、おふくろも一緒に来たよ、おふくろといっても、鉄はああ見えてもあれで妾腹めかけばらでな、と言わでものことまで言う。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
多分神原の事ではござらんかと拙者考えます、お屋敷の内に斯様な悪人があって御舎弟紋之丞様をうしない、妾腹めかけばらの菊之助様を世に出そうというたくみと知っては棄置すておかれん事
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
千五百石の女﨟ですが、初路さん、お妾腹めかけばらだったんですって。それでも一粒種、いい月日のもとに、生れなすったんですけれど、廃藩以来、ほどなく、お邸は退転、御両親も皆あの世。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)