失心しっしん)” の例文
ところが明日が約束の日という昨夜になって、カンカン寅が突然警察へ監禁かんきんされてしまったので、爺さんは失心しっしんせんばかりにおどろいた。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
噴泉を停め、ジュリアを抱き起すと、彼女は失心しっしんからやっと気がついた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それにひきかえ、蜂矢探偵はまっさおになり、失心しっしんの一歩手前でこらえていた。もしもかれが、金属人間事件の責任ある探偵でなかったら、もっと前に目を白くして、ひっくりかえっていただろう。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私は相良氏に、松風号が空間に夢の如く浮遊ふゆうしているのを見せて、失心しっしんさせたことも話した。その結果、相良氏が、兼ねて研究中の宇宙艇にとびのって火星へ発足した決死的冒険をも話してきかせた。
空中墳墓 (新字新仮名) / 海野十三(著)
居合わせた婦女子は、おどろきのあまりに、失心しっしんする者が多かった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)