大腿ふともも)” の例文
左の腕を切断され、右の大腿ふとももを砕かれ、死人のごとく横たわっているイワノウィッチの上で、露独の烈しい砲火がわされたのであった。
勲章を貰う話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ここで、くだんの若い英吉利イギリス紳士の頭に、ちょいとまくった女袴スカアトの下からちらと覗いてる巴里の大腿ふとももが映画のように flash したに相違ない。
大腿ふとももにしこった疲労を意識して阿賀妻はうとうととした。船の動揺は心の疲れも呼びだした。人気のない暗やみに来て、はじめて自分を投げだした。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
その晩かれは例によって「自分のルウレット台」で十フランの最小限度を二十三に張り抜いていましたが、ふと気がつくと、何かしら異状に冷たい固いものがかれの大腿ふとももを横から押しているのです。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
ちらと大腿ふとももを見せて片眼をつぶっている巴里!