大方おおがた)” の例文
炉端で草餅を摘みながら主人に山のことをただした。土地では毛無山の名を知らない、大方おおがた山と呼んでいる。恐らく毛無という名は測量部の称呼であろうとのことであった。
春の大方山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
同君は冬休に天子てんし山脈の西毛無にしけなし山(大方おおがた山)に登られ、南アルプスの壮観に刺激されて、あくまで緊張した神経で、天文台の上からわずかに開けた西方の木の間に白い雪の山を見付け出した。
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
麓の部落から天子てんし山脈の最高峰大方おおがた山に攀じ登り、全山霧氷に飾られた樹林の間から、南アルプスの雪山の壮観を眺め、三尺の積雪を踏んで尾根伝いに本栖湖畔に下ったまでは無難であったが
冬の山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)