多分おおく)” の例文
昨夜ゆうべの雨に甲板デッキは流るるばかり濡れたれば、乗客の多分おおくは室内にこもりたりしが、やがて日光の雲間を漏れて、今は名残なごり無く乾きたるにぞ、蟄息ちっそくしたりし乗客は、先を争いて甲板デッキあらわれたる。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)