坂東者ばんどうもの)” の例文
坂東者ばんどうものに多い特有な骨柄こつがらなのだ。それに、幼いときの疱瘡ほうそうのあとが、浅黒い地肌に妙な白ッぽさを沈めており、これも女子には好かれそうもない損の一つになっている。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
那須余一は坂東者ばんどうものだ。東北の人間が、ここの近海で、扇の的のエピソードを謳われたりしたのは、おもしろいし、内海の暗黒が、あの時代には一度、非常に明朗化されていたようにも思われる。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昨今、洛内には、東国兵の新顔を、おびただしく見かけるが、それはみな六条の配下に増員された坂東者ばんどうものであり、一族それぞれ昇官を見、門戸兵営を大にして、えんとして今や“都の豪族”である。