土間炉どまろ)” の例文
やぶの蔭に赤い火が見えた。荒物などを傍らに売る掛茶屋があって、土間炉どまろにゆたかな火を焚いているのだった。
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
片隅の土間炉どまろから、まきの炎が大きく立つ。外が暮れてくるほどに、この中は赤々と浮いてきた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三次は、なれなれしく門小屋の土間炉どまろへしゃがみこんで、煙草たばこ入れをとりだしていた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
番所へ入って、彼はそこの大きな土間炉どまろへ、さらにまきをくべさせた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さっさと、大きな土間炉どまろ薬鑵やかんのある役宅へ隠れてしまった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)