囈語うわこと)” の例文
こんな囈語うわことめいたことを言いながら、鏡のうちを見つめてちあがるや、彼は異常の驚きに打たれた。
そうして、囈語うわことのように「済みません、堪忍してください。」と言いつづけていました。
子供役者の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ジャッコへゆく途中で騒ぎが起こった時、あなたが囈語うわことに悩んだだけでもうじゅうぶんであるのに、彼女はあなたと再び言葉を交すくらいならば、いっそ死んでしまうというのですよ
王の昼寝し玉ふときは、近衆きんじゅうみなしりぞけられしが、囈語うわことにマリイといふこと、あまたたびいひたまふを聞きしもありといふ。我母の名もマリイといひき。望なき恋は、王の病を長ぜしにあらずや。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
父は時々囈語うわことをいうようになった。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その枕もとには毎晩蒼い顔をした女が坐っていたなどというのは、六三郎の囈語うわことでも聞いた人が尾鰭を添えて言いふらした怪談で、お初は明治の後までも甲州に生きていたということです。
子供役者の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
気が狂って——しばらくのあいだ囈語うわことのようにしゃべり出した。