同胞きようだい)” の例文
檀家の中にも世話好きの名ある坂本の油屋が隠居さま仲人なかうどといふも異な物なれど進めたてて表向きのものにしける、信如もこの人の腹より生れて男女なんによ二人の同胞きようだい
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「君なんかそうだろうな。おれみたいな風来坊で、親も同胞きようだいもない人間には、その味はわからんよ。なつかしき我が家なんて、子供の頃の記憶のなかにあるだけさ」
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)
『婆さんの理窟で行くと、兄が死ねば弟も死なゝけれアならなくなる。俺の姉は去年死んだけれども俺は恁して生きてゐる。然うだ。過日こなひだ死んだ馬喰ばくらふさんは、婆さんの同胞きようだいだつていふぢやないか?』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
同胞きようだいなんて、せいぜいそんなもんさ。それができなきゃ、なんになるもんか……
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)