右手みぎ)” の例文
仰向の男は、空一面に彌漫はびこつて動かぬ灰雲の真中を、黙つてみつめて居る。螽の如く蹲んだ男は、平たい顔を俯向うつむけて、右手みぎ食指ひとさしで砂の上に字を書いて居る——「忠志ただし」と書いて居る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
右手みぎに髯をつかみ、左手ひだりに鏡を持った主人は、そのまま入口の方を振りかえる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)