匠気しょうき)” の例文
旨く書こう、なるべく上手にと技巧に囚われている書家の字に価値のないのは、内容のない浅慮の振舞として、衒気げんき匠気しょうきを出すからである。
心によこしまがあれば邪が——心に堕気だきがあれば堕気が——匠気しょうきがあればまた匠気のあとがおおい隠しようもなく遺る。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜかというと、書を習うに従って技巧を覚え、柄にもない、身分にもない書風をえらんで、そこに匠気しょうきが出る。
現代能書批評 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
結果から見ると、大抵の人は手紙なら生きた字を書くが、あらたまったものを書くときには、うんと技量が低下して字が死ぬ。いわゆる匠気しょうきというものが出て来る。