努力つと)” の例文
社会の下層を流れる清水に掘りあてる迄はまずたわまず努力つとめるばかりでなく、また其を読者の前に突着けて、右からも左からも説明ときあかして、呑込めないと思ふことは何度繰返しても
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
小躍りして歌って居る思いを「何でもない」静けさで被うて居ようと自分の前に努力つとめて居るいじらしい様子を見ると、余り可哀そうな之からの事を思うて蕙子は口も利けない様であった。
お久美さんと其の周囲 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それから私は努力つとめたものだ。二十年三十年四十年、馬車馬のように突き進んだ。そして美しかった青年のわしが、いつの間にかこんな老人となり死病にさえもとりつかれて余命少くなってしまった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)