劇的ドラマチック)” の例文
が、しかし、「その面白さ」は、ややもすれば、かの「劇的ドラマチック」なる美名の下に、通俗的興味を満足させるにすぎない場合が多いではないか。
劇的伝統と劇的因襲 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
云わば、過敏神経の劇的ドラマチックな遊戯なんでしょうが、ちょっと口には云えない、一種異様に触れてくる空気を感じたのです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
猪首ししくびで猫背で、丸まっちい、子供のような顔をしたこの小男の石亭先生が、泥棒に尻を押されて、露台の窓から、不器用な恰好で這い込んでゆくようすときたら! 劇的ドラマチックとでも言いましょうか
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ところが、伸子の方は、降矢木というすこぶる劇的ドラマチックな姓を冠せて、物凄い皮肉を演じてしまったのだよ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「なに、算哲ですって⁉」と法水は、一度はあおくなったけれども、「だが、その諷刺ザチーレはあまりに劇的ドラマチックですね。ほかの六人の中から邪悪の存在を発見しようとして、かえって自分自身が倒されるなんて。 ...
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いずれ劇的ドラマチックな秘密のあることだろうがね。とにかく動機としての資格は充分にある。だけど法水君、そうなると、一人殺すも三人殺すも同じことになるがね。それだのに、どうして外側から下した鍵を
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)