剽盗おいはぎ)” の例文
旧字:剽盜
「だから、殺したのは、お菊をよく知っている者の仕業しわざだ。流しの剽盗おいはぎや、あまり口をきいた事もないような人間のしたことじゃねえ」
琵琶びわの箱を背に負うて、座頭の位をあがなうために京上りをする途中、剽盗おいはぎや強盗に出遇う話はしば/\昔の物語の中に見受けられる。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
飛出そうか、飛出そうかと潮時を見て居た足の勇も、妙に悩ましい丹波高一の眼に射すくめられて、剽盗おいはぎ退治の一役を買って出る出鼻を挫かれます。
踊る美人像 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
剽盗おいはぎ泥棒ならあきらめて帰るがよかろう。この通り無禄の浪人者だ、一文も持合せがない、その上年こそ取っているが、拙者は腕が出来ているぜ、ハッハッハッハッ」
辻斬や剽盗おいはぎは憎いが、こんなに手を焼かせるのは、よっぽど悪智恵の廻る奴だろう、——待てよ、何だって小田巻直次郎を殺したんだ、——小田巻直次郎は辻斬じゃねえ
「この小田巻直次郎が、辻斬や剽盗おいはぎをかくまっているとでも言うのか」
「小田巻直次郎、これでも武士だ。辻斬や剽盗おいはぎに朋友も知己しりあいもない、——さア、踏込んで見ぬか。怪しい者は居ない代り、金はうんとあるぞ。小判というものを堪能するほど拝ましてやる。それ」